【この記事読めば概要OK!】デザインフォーラム(2) “住み続けられるまちづくり”
皆さん、ご無沙汰しております!コラムの掲載が滞っておりましたが、ようやくSDGs bizサポート事業の取材がひと段落し、また情報発信していきますのでよろしくお願いします。
本日は、前回の大変好評だったヨコハマSDGsデザインセンターフォーラム第一弾の続編として、「住み続けられるまちづくり -SDGsを通して自治を考え、社会生態系を創る-」をテーマにウェビナーを開催しました。
前回は「教育」をテーマに、小学校、中学校、高校、大学の各教育現場の教育者の皆様方にご登壇いただきましたが、今回お越しいただいたのは、
- 協同組合元町SS会 副理事長 近澤柳さん
- コトラボ合同会社 代表社員 岡部友彦さん
- 認定NPO法人市民セクターよこはま 理事・事務局長 吉原明香さん
- 川上地区連合町内会及び社会福祉協議会 副会長 、前田町町内会会長 高嶋威男さん
近澤柳さん:「商店街から考えるSDGs」をテーマに、商店街がいかに結束力を高めて盛り上げているのかについてお話いただきました。
開港160年、新しい文化が入ることによって商店街が発展してきたが、(ちなみに、近澤さんのお父さまは、「江戸っ子は3年、ハマっ子は3日」とよく話されていたようです。つまりそれだけ横浜の人は外部を受け入れる、容認していたという”共存”の精神が昔から育まれていたそうです。)時代の流れとともにコロナも相まってピンチを受けるものの「変化への対応」「社会課題への対応」「持ち続ける危機感」を商店街全体が共有することによる団結力でピンチを乗り越えた。
- 商店街の人びとによる場のプロデュース
- 北海道下川町との共同開発(SDGsバッジ、バッグ、マップ化)、約半数の商店が参画
- 多様な客⇔多様な商店→多様な取り組みできる可能性
岡部友彦さん:「多文化生活圏におけるエリアマネジメントとSDGs」をテーマに日雇労働者“ドヤ街”での活動や、その活動によって生まれた多様な人たちの世代間/世代内コミュニケーションについてお話いただきました。
“日雇い労働者の街”寿町。今では、生活保護受給者、高齢化、違法投棄などイメージがよくない、そんなイメージを刷新するため、
- ことづくりからのまちづくり(ソーシャル・ビジネス)
- 下町の良さ
- 空き部屋を資源にした新しい人の流れをつくる(ドヤ街のドとヤをひっくり返して、ヤド街に!)
を実施した。特に訪日外国人にフォーカスして、空き部屋をリノベーションしてバックパッカーのための宿を設置した。“バックパッカーが来るまちへ”と変貌を遂げた。
外国人が下町情緒を感じてもらい、地元の人と触れ合ってもらったり、学生向けに社会勉強・研究のために無償で宿を提供し、SNSで発信してもらうことで、地域の高齢者と若者をつなげるコミュニケーションを形成している。
クラウドファンディングで建物の屋上にグランピング設置呼びかけるも、あっという間に資金が集まったんだそう!
吉原明香さん:「NPO・企業連携による地域福祉とSDGs」をテーマに、大手企業との連携ストーリーなどについてお話いただきました。
トリプルボトムライン(経済のみならず社会・環境の3つの側面から評価する)が重要である。
NTTドコモとのプロジェクトでテーマについて先方と相容れない部分があったが、お互い話し合って「結節点」を見出せた時、そこから両者共に空気が変わり、ゴールへ勢いよく前進したそうです!
- 誰もが自分らしく暮らせるまちづくり(個人、コミュニティ、組織、行政とのつながり)
- 包括的なケアシステム(例:まちかどケアサービス、キャラバンメイト、健康・福祉⇔まちづくり)
- DX×SX(例:NTTドコモとの連携、情報サービスとの連動性の向上)
- CSRからCSV(経営統合)へシフトしている企業との連動→企業が果たす社会の役割
- 多様な主体との協働による住み続けられるまちづくり、しくみづくり、参加の場づくり
- 協働プロセスに配慮(参加の誘発、対話、信頼、コミット、共有)
- 期待される中間支援機能(変革促進、資源連結、プロセス支援、問題解決策提示)
- 越境したコミュニケーション、異質な人の協働
高嶋威男さん:「地域コミュニティとSDGs」をテーマに、北海道下川町との交流のほか、地域内で行われている世代内コミュニケーションについてお話いただきました。
みんなで備え、育み、 支えあうまち「かわかみ」を掲げていて、防犯防災の街、子育ての街、みんなの支え合いが続く街の3本柱でまちづくり が行われていることに加え、エコ活動も推進している。環境家計簿など温暖化対策のほか、イベントで発生したCO2を換算した金額を、北海 道上川郡下川町の森林管理費にあてる「カーボン・オフセット」にも取り組んでいるんです!!
自助と「近助」を大切に、早期の地域コミュニティの形成の重要性を教えてくれました。
- とつかハートプラン(人の生存、人の成長、社会の成長、社会の存続、リスクへの対応)
- 住民自治を軸にした住み続けられるまちづくり
- 子育てを軸にしたまちづくり、世代間コミュニケーション(例:むかし遊び、音楽鑑賞会、食事会)
- 自治会、戸塚区と他自治体の交流(北海道下川町)
最後は、信時正人センター長、デザインセンターのシニアアドバイザー兼学術コーディネーターの佐藤真久 東京都市大学教授をファシリテーターに、パネルディスカッションしました。
これからは、自治体の複数部署、多様な分野・領域の専門家、課題の現場にい る地域住民等、様々な人たちが知恵を持ち寄り、表面化した問題・課題の背景 にある構造や相互作用、意味の多面性、時間のなかでの変化にまで視野を広 げて、“複雑な問題”の解決に向けてアイデアを出し合うといった、“真の課題と 解決のあり方を模索していく参画プロセス”がますます重要になってくる。
by 佐藤教授
さらに、パートナーシップの多義性は(手段・目的・権利)がある。
by 佐藤教授
これに対して、信時センター長はプラス「変化」としてのパートナーシップがある。
パートナーシップが確立していたコミュニティは、3.11でリカバリーが早かったという報告もあるようです!
私たちは今正解のない問いに答えようと、共に生きています。
持続可能な社会の実現は、異質な人たちで構成されるオーケストラでハーモニーを織りなす…まさに、“SDGsは楽譜”のようなものなのかもしれません。